今週から夏期講習が始まりました。
それぞれの生徒が一生懸命勉強する姿,成長する姿を見るのはほんとうに楽しい時間です。
今週の様子をレポートしてみたいと思います。
自主学習プログラム
今年は,夏期講習の特別プログラムとして,自主学習プログラムを提供しています。
特定の2つの曜日の午後の5時間,学習スペースを開放し,生徒に自由に塾に来て自分の学習を進めてもらう,というプログラムです。
コロナによる休校中,勉強する気が起きない,あるいは何を勉強すればよいか分からないまま,いたずらに時間が過ぎていった子供たちが少なからずいたはずです。
ところが,学校が再開した途端,短い時間で何とか既定の範囲を教え終わろうと,かなりの速度で学習が進められました。
保護者や塾などの手引きにより休校中しっかり勉強していたお子さんとそうでないお子さんとでは,相当の開きが出たのではないかと思います。
また,思春期のお子さんを抱えたご家庭では,やる気を見せずゴロゴロしている子供を見て親のイライラが募ったり,親子関係が不穏になったご家庭もあるのではないかと思います。
そんなお子さんやご家庭の力に少しでもなりたい,と思って自主学習支援プログラムを提供することに決めました。
そうして始まった自主学習タイム。
すばらしい光景が目の前で繰り広げられました。
計画会
まず,自主学習の始めに「計画会」を開きました。
目的も目標もないまま1か月過ごしてはもったいないので,おおまかな目標を立てて,それにそったオーダーメイドの夏休みの計画表を各自で立てられるようにしました。
この塾は英語塾ではあるのですが,実はわたしが子供に教えたいのは英語そのものよりも,勉強の仕方です。
魚を与えるだけでなく,魚の釣り方を教えることが最終目標です。
さて,何事においても計画は重要です。
“Begin with the end in mind.”(目的をもって始める)
やみくもに何かを始めても,モチベーションが続かず,成功の度合いを測ることもできません。
計画には十分な時間を割くのが吉です。
さて,おもに中学1年生を相手に計画の立て方の原則を説明し,各自で計画を立ててもらいました。計画を立てるのが初めてという中学1年生も多かったはずですが,みんな原則を理解して,せっせと計画表に書き込んでいきました。
後で聞いたところによると,おうちでは計画を立てなさいと親から言われても,子供はなかなかやらないそうなのですが,友達の力,集団の力が効力を十二分に発揮して,みんな黙々と計画を立てていきます。
中学1年生の中でも,定期テストが終わっている生徒と休み明けにテストを控えている生徒,夏休みの宿題の多い生徒ともうすでに終わっている生徒,部活などの日々の活動が忙しい生徒とそうでない生徒,勉強に対する好き嫌い,勉強経験の多寡などにより出来上がる計画はまったく異なります。
自主学習タイム
午後の5時間を自主学習時間としました。
ここでも子供たちの立派な姿をたくさん目撃しました。
灼熱の中で部活をして,真っ赤な顔で塾に直行し,すぐさま自習を始める生徒。
おそらく長時間勉強した経験がないだろうに,静かな雰囲気を鋭く感じ取って,ほぼ休まずに計画した勉強を進めていた中学1年生。
一人で勉強するときにはすぐにフラフラとどこかへ行ってしまうのに,真剣に取り組む周りのお友達に触発されて集中力を切らさずに勉強した生徒。
自主学習スペースについての約束をいくつか壁に貼ったのですが,その中の一つ,「スマホは触らない」(使うときには部屋の外で)については,だれ一人として破ろうとする気配さえ見せませんでした。
家ではスマホ三昧の我が家の子供も,皆さんのよい影響のおかげで,この時間帯は封印していました。ありがたい!!!
授業
夏期講習,と言っても,普段と同じ90分授業(中1,中2)をするだけなのですが,普段はほぼ同じカリキュラムで生徒を教えているのに対し,夏期講習では初めて参加する生徒もいて,しかも在籍中学が異なるため,ニーズや目標が異なり,ほぼ全員を異なるカリキュラムで教えています。
例えば,中1クラスには4人が参加してくださっているのですが,定期テストが休み明けに待ち受けている生徒には定期テスト対策,すでにテストが終わっている生徒には1学期の復習と2学期の予習を教えます。
目標の相違に加え,現時点での状況が異なると,またカリキュラムも変わってきます。
“Start where you are.”(現時点での状態から出発する。)
文法の基礎が固まっていない生徒に長文を解かせても効果が薄いでしょうし,基礎がすでに固まっているのに単純な復習をさせては時間の無駄です。
そういうわけで,今回は一部を除いてほぼ全員違うカリキュラムで勉強を進めています。
英語は最も少ない努力で結果を出せる教科ですので,英語を通して自信を得て,多くのことに挑戦してくれるといいなというのがわたしの望みです。
カウンセリング
夏期講習の自主学習応援プログラムの特典として,30分のカウンセリングをもうけました。
最近のテストの答案を見せていただいて,改善点を見出したり,お子さんについて心配なことについて親御さんの悩みをお聞きする時間です。
お子さんを塾に預けようという親御さんたちですから,どの親御さんもお子さんの教育に心を砕いていらっしゃって,この子たちはなんて幸せなんだろうと思いました。
思春期のお子さんをもつ親の悩みは,一様ではありませんがどれも真剣です。
特に,一人目のお子さんが思春期を迎えたときの対応の難しさに戸惑う気持ちは,自分が同じ道を通ってきただけに深く共感するものがあります。
おうちで勉強しないお子さんも,ここに来るとしっかり勉強して帰り,おうちでも機嫌よく過ごせている,というご感想を聞くにつけ,この夏期講習の目的の一端が果たされていることを知ってとてもうれしくなります。
中学の新しい生活に戸惑っている中1生も,家で集中して勉強できないお子さんも,なかなかやる気が出ないお子さんも,切羽詰まっている受験生も,ここに居場所を見出して,自分のポテンシャルを最大限発揮して,自己肯定感を高めてくれたらいいなというのがわたしの願いです。