
夏期講習もあっという間に後半戦。
最初は緊張感で張りつめていた自習時間にも,少しずつ笑い声が聞こえるようになりました。もちろん,休憩が終わるとまた水を打ったような静けさに戻ります。オンオフの切り替えのよさがこの自習時間の特徴です。
今年は夏期講習のプログラムとして,自習スペースを提供しています。午後の5時間,好きな時間に来て勉強して好きな時間に帰ってください,というプログラムです。
この自習時間,基本的にはみんな静かに黙々と自分が立てた計画表にそって勉強しているのですが,その合間に時折,子供たちの助け合いが見られます。
あるとき,学校から課された社会のワークの宿題でつまずいている生徒がいました。休憩中だった二人の生徒がやってきて,答えを教えていたのですが,やがて一人の生徒が「答えを教えちゃったら〇〇(宿題をやっていた生徒)のためにならないよな。ヒントを言った方がいい」と言って,答えを告げるのをやめました。
この発想に,わたしは感心しきってしまいました。
またあるときは,学校から課されたレポートにつまずいている別の生徒がいました。「おれ,考えるの苦手なんだよなー。全然書けない」と言って,2,3行書いたままずっと手が止まっています。
コンピューターで調べてみる?と声をかけたのですが,それは必要ない,という答えだったので,ほかのみんなにアイデアを募ってみました。すると,いいアイデアの出ること!!
みんなが次々にアイデアを出してくれるので,書くのが追いつかないほどでした。
社会のワークが苦手で助けてもらっていた生徒が,今度は目を輝かせながら,だれよりもたくさんのアイデアをひねり出してくる様子を見て,わたしはじーんとしました。
今回の夏期講習に参加している生徒のうち,すでに1学期の学習範囲の定期テストが終わっている生徒とそうでない生徒が混在しています。(これもコロナの影響による珍しい現象です。)
あるとき,すでに定期テストの終わったある生徒がわたしのところにやってきて,「これ,〇〇(定期テストが済んでいない生徒)に解いてもらったらどうかな?」と言って,自分が1学期末に受けたテストと解答を持ってきてくれました。
仲間が一生懸命勉強している姿を見て,助けたいと思ってくれたのでしょう。なんて親切な(涙)!!!
夏期講習の自習室は,子供のがんばる姿だけでなく,助け合いの精神も見ることのできる,ある種神聖な場となりました。