
先週,中学に上がったばかりのピカピカの中1生たちの会話。
中1男子A:「先生,今日ねー,5時間もテストしたんだよー。疲れたー。」
私:「5時間も!それは大変だったねー。疲れたでしょう?」
中1女子A:「疲れたー。5教科全部テストしたんだよ。聞いてなかった!」
私:「5教科続けてやったら疲れるよね。お疲れ様~。」
中1男子B:「英語,めっちゃ難しかったよ。あんなの,塾に通ってなかったら全然分からないよ。」
中1男子C:「うん,全然小学校で習ってないこと出たよね。」
またこの季節が来たか,と思いました。 「中1ショック」の季節です。
学校教育以外に英語のバックグラウンドのない中1生が,中学英語の開始とともに,「英語,全然分からない」「英語,苦手だな」「英語,嫌い」と滑り落ちて行きがちなこの時期。
現在の中3以上は,「何言ってるんだろう?」と思われるかもしれません。 無理もありません,この新システムに移行したのは昨年ですから。 わたしも含め,それまでの中学英語教育を受けていた人たちは,英語は中学に入ってからゆっくり始めればよい,と思っていたはずです。 実際,当塾でも,中学1年生の進度は遅く,先取りの必要性はないとの考えから,小学生の生徒は2年前までは募集していませんでした。
ところが,2020年より小学校の英語が教科化されたのに伴い,小5,小6で英語を学習したことを前提とした中学英語がスタートしました。
小5,小6では,口頭でのコミュニケーションだけではなく,「読み・書き」も学習し,英単語は600ー700語学習することが新指導要領に明記されています。この単語数は,実に従来の中学英単語の約半分です。
中1の最初の定期テストと言えば,これまではアルファベットの読み書きに関するものが大半を占め,大文字を小文字にできるか,あるいはアルファベットの順番に並べ替えることができるか,などを問う問題が主流でした。
ところが,現在ではアルファベットは小学校の復習としてほんの少し触る程度で,英語の質問に英語で答える,自分のことについて英文で説明する,など多岐に渡る問題が出題されます。
また,教科書も難易度が高く,Unit1-1の本文から一般動詞とbe動詞が混在するうえ,肯定文,否定文,疑問文も一度に現れます。 小学校で相当の英語教育を受けてきたことが前提となっているわけですが,実際のところ,小学校でそこまでの英語教育が行われているわけではないように見受けられます。
当塾で小学生クラスを開講した年に,小5と小6に同じ授業を行いました。6年生は英語が教科化されて1年たっていましたから,小5よりも英語を理解できてもよいはずでしたが,理解度に差は見られませんでした。
中1の前提となっている,一般動詞とbe動詞の理解は,これまで最も中1生がつまずいてきた文法事項であり,最も時間をかけて習熟を図る必要のあるところですが,小学校でも十分教わらず,中学では小学校で学んだものとして扱われるため,ここでも教わらない,ということが起きており,これまでより多くの中1生のつまずきの原因となることが予想されます。
そんな事情を踏まえて,当塾でも小学生クラスを開講したわけですが,1年の先取りというのは実に余裕があっていいものです。 今,ちょうど入学シーズンで,中1になったばかりの生徒たちが,毎週のように「疲れた~」「部活が大変~」と眠い目をこすりながら塾で勉強しています。ライフスタイルの変わるこの時期,体力も精神も消耗している中1生が,英語文法を一から学ぶのは相当大変なことだったろうと想像します。
先取り学習の投資効果を十分感じていただけるよう,これからも先取りの歩みを止めずに参りたいと心を新たにしております。